今日はちょっとまじめなお話。
15年以上前に留学していたときに撮影した写真を今、眺めている。
日本人の友人(女性)がホームステイしていたお家のキッチンで、私と韓国人男性(大学生)の3人で夕飯を食べたときに撮影したもの。
韓国人の名前は発音しにくいということで、クラスの中ではダンテと呼ばれていた彼。
とても真面目な子で成績も良く優しい子だった。
イタリアでは高麗人参が手に入らなくて、参(サム)がないから『これは鶏湯(ゲタン)だ!』といいつつ、丸ごとの鶏を調理し、高麗人参は免税店で買うと高いから街中のスーパーで買えとか、兵役にいったとき、訓練するフリして高麗人参を探しながら匍匐前進したときの話をしてくれた。
当時のクラスは30人くらいだったけど日本人は私を含めて5人くらい。韓国の大学生2人と社会人、あとは教会から派遣されている神父様、シスターもいた。
韓国人グループはみんな仲が良くて、年長者が年下の子たちの面倒をみて可愛がり、年下の子たちは年長者を敬い、大事にしている感じだった。
クラスにはイギリス人やアメリカ人、中東から来てる人もいたんだけど、日本人と一番仲良くなるのは韓国人で、よく休憩時間に日韓混ざって、みんなでガヤガヤバールになだれ込んだりしてた。
韓国では割り勘という仕組みがあまりないみたいで、大体年上の韓国人男性が持ち回りでご馳走してくれたりした。みんな本当にいいお兄さん、という感じだった。
韓国人の友達と飲む=二日酔い確定(笑)。
休日にサッカーをやったり、お互いの家に入って食事を作って食べたり飲んだりもよくした。
特に男性はみんなお酒が強くて、皆で集まった次の日はたいてい二日酔になるほどだった。私もダンテも一応いうクラスでは優等生だったから、翌日揃って二日酔で遅刻したのを見て先生がびっくりしたほど。
今、日韓関係は悪化の一途をたどっているけれど、民間レベルではこれだけ気が合う人が多い日本人と韓国人なのに、国レベルになるといがみあいばかりで、うまくいかないのは本当にやりきれない思い。
まあ、私たちだって日本が南日本と北日本に分断されていて、その分断に他の国が間接的にでも関わっていたとしたら、相手に対してどんな感情を持つかわからない。
家族が離れ離れになっていたりしたら、なおさらだと思う。
そういえばダンテが帰国間際に私に自分が使っていた炊飯器を譲ってくれたことがあった。
「韓国の子たちには黙ってて。誰に譲った、譲らないでケンカになるから。実はもう1台炊飯器があったんだけど、災いの元になるからゴミに出したんだ」
なんちゅーもったいないことをするのだ!と言いたかったけど、日ごろの彼らの人間関係を思い出して、納得した。
どうやら、彼らの中にはお友達や仲間の間でもヒエラルキーがあるみたいで、時折、彼はそれに苦労している様子だった。
恋愛感情だけじゃなく、相手を「好き」とか「大事」という感情に対しても「私の方が好き!」「私の方が可愛がられている!」みたいに、そこにライバル心が生まれることがある。熱い人たちだなと思った。
とりとめのない話になってしまったけれど、私が知っている韓国人は、みんな本当に誠実で、優しく、誰かや何かを大事にすることに対して躊躇せず熱意を見せる人ばかりだった。
日本を叩いている韓国人のインタビューなどを「こんな人ばっかりじゃないんだけどなぁ。いい人もいっぱいいるのに」と、ダンテの顔を思い出す。
もう40歳近くになって家族を持っているんだろうけど、せめて彼もあのときのことを思い出して、「日本人も悪い人ばかりじゃない。いい人もいるんだけどな」と思っていてくれたら、と願わずにはいられない。
そして彼が日本人留学生たちと過ごした思い出を自分の家族に話していてくれたら、どんなにいいだろう。些細なことだけど、こんな風にして民間&お友達レベルでお互いの距離を縮めていくことでしか、日韓関係は改善しないのかもしれないな、と思う。