先日、イタリア人の友人に「これって本当のことなのか知らないんだけど」と前置きされてある質問をされました。
日本で結婚したら女性が苗字を変えないといけないって本当?
こら!おぬし、何年私の友達をやっているのだ?と思いつつも、まあ、本当だね。と答えました。(実際には男性の名字になることもあるけど、ごくまれなケースですからね)
すると心底びっくりした顔で「日本ほど進んでいる国がそんな状態だなんて意外だな」と言われました。
彼にはアルバニア人の知り合いがいます。
で、その知り合いのお姉さんが病院に担ぎ込まれたことがあり、そのアルバニア人の友達が慌てて知り合いの医師に電話してお姉さんの名前を告げたらしいのですが、それが通じない。
イタリア人の友達はアルバニア人の友人本人の苗字は知っているのですが、どうやらお姉さんの苗字がそれと違っていて、発音がすごくむずかしかったらしいんです。
そこで、お姉さんなのに苗字が違うの?と彼は疑問に思ったらしいんですね。
これは偏見込みの一般的なイメージなのですが、アルバニアは男尊女卑的な考えが浸透していると思われがちな国です。
実際、私は知り合いのアルバニア人ご夫婦が喧嘩して、奥さんが殴られて泣きながら外に飛び出してきたのを見たことがあります。(旦那さんは普段は周りの人にはいい人なんだけど)
その夫婦だけかもしれないのですが、夫婦で連れ立って出かけるのを見たことは一度もなく、奥さんはせっせと子供のために働いているイメージ。旦那さんはよく外でお酒を飲んでいるらしい。
こうした国と日本が同じ…。女性が自分の名字を名乗ることができないなんて、日本ほど進んでいる国が意外だなと言われてしまったのです。
こういう話をすると「ほら出た海外崇拝」とか言う人もいるのですが、どちらが良いという話ではなく「日本ほど進んでいる国がこういう状況だということが意外」という話です。
もちろんどちらが良いというわけではありませんが、結婚する際に苗字を変えるか旧姓のままでいるかは、本人に選ばせて欲しいと思っています。
夫婦別姓を選べるようにしてほしい
ちなみにイタリアでは苗字を変更するかどうかは選ぶことができます。でも、大半の女性が旧姓のまま。
家族の中でお母さんだけが違う苗字というのは韓国や中国とも一緒ですよね。
日本では夫婦別姓が議論されるとき、いつも「子供が小学校などに上がった時に夫婦の名前が違うといじめにあう」という意見が出てきますが、それこそお得意の「自己責任」じゃないですか?放っておいてほしい。
家族の絆が薄くなるとかいいますが、韓国や中国、イタリアと比べたら日本の方が家族の絆は薄いと思ってます。(震災後はかなり変わったけれど)
話はちょっと違いますが、日本の家族の絆ってどうなのと思う例をひとつ。
仕事でシングルマザーの皆さんの生活について調べることがよくあります。でも彼女たちって、元夫から養育費をもらっている方って少ないんですよね。7割ぐらいの男性が払わずに逃げてしまうという。支払いを強制させるのも難しい。
今ならマイナンバーがあるんだから、紐づけて強制的に支払いさせることも不可能じゃないはずなのに。
これって他でもなく、日本人が考える「家族の絆が薄い」ということの現れじゃないんですかね。だったら、苗字が違くても影響ないでしょ?離婚したって家族は家族。親子であることには変わりません。
苦労している女性がいっぱいいるのに、このあたりの議論は深くされない。それなのに、別姓は認めないのは「家族の絆が大事だから」としているところに、矛盾あると思うのです。
改姓すると不便なことはいっぱいある
悔しくて泣けてくる。外務省に「旧姓併記パスポートを持ってるが海外に行く際に色々と説明やビザ取得の際等不便なので、外務省が公式に私が旧姓を併記したパスポートを持ってる理由を説明した文書を出してもらえないか?あるいは私のように困っている人のため英語で説明している資料はないか?」続
— ハミガキ (@mizukiharikiri) June 3, 2019
これ、分かる。本当にわかる。
こちらのツイート、なんと河野外務大臣が対応を指示しました。とレスしていて、ご本人は感激していらして、ほっとしたけど、そもそも選択できるようになっていれば何の問題もないのよね。
だってYAMADA (SUZUKI)とか書いてあったって、それがなんなのか海外の入国管理官には分からないからね???YAMADAとはイコールじゃないからだめと言われるだけですよ。
私はかつて、パスポートが都道府県発行であるのに対し、戸籍謄本は市の発行だから、kanagawaとYokohamaじゃ、場所が違うじゃない!この書類だったら、ダメって言うことだってできるんだからねと、ケチをつけられたことがありますからね。
それぐらい海外では融通が利かない、ましてや名前が変わるなんてなぜなのか分かってもらえないってことなんですよ。
外務省旅券課の担当者から5日午後、回答があった。昨4日夕に河野外相から指示があり、対応を検討しているという。担当者は取材に、「旧姓併記は別名併記という制度の一つ。別名併記については申請があって(パスポートを)お渡しする時、『説明責任はご本人で』とお伝えしている。説明する資料などは、特段用意はしていなかった」と答えた。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190605-00000004-jct-soci
説明はできても、それが通らないから困っているんです。言葉が話せず、説明ができなくて困っているわけじゃないの…。それとも「海外の入国管理局での管理官の説得はご自身の責任で」という意味???なんのための外務省ナノ??
Department of Foreign Affairsと書いてある説明書類みたいなのを発行するとか、パスポート内に明記するとかしなければ、海外では効力がないと言っているんです。
そして「好きで海外に行っているのに自己責任」という意見は却下です。なぜって?論点が違うから。ここでは自己責任なのに、夫婦別姓で子どもがいじめられるかもしれないことには口を出してくるのもおかしいよね。
海外では名前を変えてテロリストが潜入してくるかも、とかいろいろ勘ぐられるわけです。
この他にも、離婚して旧姓に戻ると免許証やクレジットカードなど全て名義変更しなければならなくなるし、窓口でいちいち理由を伝えなければならないこともある。この苦労は男性だって女性だって同じことだと思います。
夫婦別姓を認めたからといって、別姓を選択しない方には何も起こらない。おそらく、この議論を国会でする議員さんたちにもなにも起こらないでしょう。
有名な同性婚を認めるかどうかの法案を議論する、ニュージーランド議会の議員さんのスピーチを思い出します。
夫婦別姓ができるようになったからって、それを選ばない人にはまったく変わらない明日がくるわけです。
何も全ての女性が結婚した後も旧姓でいるべきとは誰も言っていません。それが時代遅れだとか、悪いとかも1mmも思ってなく他人の生活に興味もありません。
ただ名字を変えたくない人は旧姓のままでいることを選択できるようにして欲しいということなのです。
結婚して好きな人の苗字になるのが夢という女性だっていますからね。
令和になって、雅子様がキラキラしているのを見ると「ああこれから日本は変わっていくのかもしれない…」と淡い期待を抱いているのですが、夫婦別姓の議論もなんとかいい方向に行ってほしいなと思っています。