「イスラム国」と「カミカゼ」、無知が招く差別と偏見

フランスのテロから早くも2週間。IS(イスラミックステイツ)と呼ばれるテロ組織が犯行表明を出して、フランスのオランド大統領が「フランスは戦争状態にある」と発言するなど、非常事態とも言える状態が続いています。

そんな中、目にしたのが「トルコ側が日本のマスコミにISを『イスラム国』と呼ばないで」と抗議したというニュース。

これを呼んで私は同意したと同時に、日本なら仕方ないのかなと思ってしまいました。差別だ!偏見だ!という意見もあると思いますが、実は私たち日本人も知らないところで、同じように間違った、偏見の目で見られているって知ってましたか?

 

ISをイスラム国と呼ぶ理由

ISを「イスラム国」と呼ぶ理由はその英語名称がislamic statesであることから来ています。以前、あるジャーナリストが「テロリストが国家を名乗る時代になってしまった」といっていましたが、そういうことです。彼らの国の首都がシリアのラッカであると主張していることからも、分かりますよね。

 

私は海外で暮らしていた経験があるので、ムスリムのみなさんが身近にいる環境で数年過ごしていました。ですから、イスラム諸国(イスラム教を信仰している国々)と「イスラム国」の違いは無意識のうちに理解しています。

 

しかし、そうでない人、日本で暮らしている方は、「イスラム国」と聞いたらイスラム教徒の国々を想像してしまうかもしれません。

 

ですからトルコ国営放送の抗議はもっともであると思います。日本人がイスラム諸国に対してどれだけ知識がないか、それゆえに「イスラム国」という呼び方を続けることで、今後どんな悪影響が出るかということも考えての抗議だと思います。

 

イスラム教というものを理解していない理由

キリスト教の教えに比べて、イスラム教の教義について私たちがほとんどなにも知らない理由は何でしょうか。

それは学校の授業できちんと教えられていないこと。そして信者の方が周りに少ないことなどがあげられるでしょう。

キリスト教儒教の教えに関しては、おはなしとして小さい頃から聞きかじることがあるのに対し(隣人を愛せよ、とか)イスラム教に関して私たちはまったくの無知です。

 

私はイスラム過激派のテロが起こるといつも、「本当のイスラム教の教えってどんなものなんだろう?本当の信者の人たちはどんな気持ちでこのテロを見ているんだろう」と思います。

 

それにしてはワガママをいうならば、イスラム教徒の方々にもう少しポジティブキャンペーンというか、イスラム教の素晴らしい教えについて、詳しく教えて欲しいと思うのです。

 

トルコ国営放送の特派員の方も抗議の中で「イスラム教は平和を訴え、平和に呼びかける宗教」とおっしゃっていますが、その辺がよく分からない。そこをもっと詳しくお願いします!と言いたい。

 

まあ自分で勉強しろよというかたもいると思いますが、偏見を持たれないためには、自分たちから正しい情報を流布させる必要もあるのではないでしょうか。

誇り高きイスラムの男

私は以前、オリンピックの柔道の試合でどこの国だったか忘れたのですが、イスラム教徒の国の選手が、日本の選手がケガした箇所を攻撃して勝つこともできたのに、あえてケガした箇所を狙わず金メダルを逃したに対して、なぜ攻撃しなかったのか?とインタビューを受け

 

「誇り高きイスラムの男は相手のけがを攻撃するような卑怯なマネはしない」

 

と答えているのを聞いてから、イスラム教に関してのイメージが一気によくなりました。「誇り高きイスラムの男」。この言葉は永遠に私の心に残ると思います。

 

単純なことですが、世論とはこんな感じに左右される脆いものでもあるのです。ただ、こんなポジティブキャンペーンを行って欲しいといっても、内戦状態にあるイスラム諸国の方にそんなアピールをしている余裕はないでしょう。

 

でもイスラム諸国にもとても裕福な国々がありますよね?そうした国の方々がもう少し、世界にイスラム教の真実のイメージを発信してくれたら…。世界中の人の偏見も少なくなると思うのです。

 

自爆テロカミカゼと呼ばれていることを知っていますか?

海外で暮らしていたころ、ニュースを見ていて「それ偏見。間違ってるからやめて」と思うことがありました。

 

それは自爆テロカミカゼという名前で呼ばれていることです。今でもですよ?フランスでも今回の自爆テロカミカゼ(発音がカミカズとかになるらしいですが)と呼ばれているそうです。

 

神風特攻隊は戦争中、敵陣や敵の飛行機に特別攻撃、すなわち体当たり攻撃した攻撃隊のことを指しています。戦争でもないのに、民間人やなんの関係もない人を巻き込む自爆テロ、テロリストとは違います。

 

国のために亡くなっていった兵士とテロリストは違います。テロリスト側から見れば、彼らも国のために亡くなっていった戦士なのかもしれませんが。

 

先日、飛行機の故障で特別攻撃をせずに帰還した兵士の方が「自分だけが生き残って申し訳ない」と感じているという記事を目にしました。

 

そして、世界中で自爆テロカミカゼと呼ばれていることに対して何もできないことに対し、亡くなっていった戦友たちに申し訳ない、悔しい、とおっしゃっるのです。

 

このもどかしさはまさにISが「イスラム国」と呼ばれることに対して、イスラム教徒の皆さんが感じる気持ちと同じなのではないでしょうか。

 

私も安倍首相や在外大使のみなさんに、今回のトルコ国営放送の特派員の方が抗議したように、是非、ヨーロッパ諸国などに対して自爆テロカミカゼと呼ばないで欲しい」と抗議してほしいと思います。

 

悪意があるわけではない、でもそれではすまされない問題

ISをイスラム国と呼ぶことに対して、悪意を感じるという方もいますが、私は大いなる無知がこの誤解・誤りを招いているのではないかとも思います。

 

要するに、史実をよく知らないし、あまり影響もないからなんて呼んでもかまわないでしょ?もう定着しちゃったしね、という人もいる…ということです。

 

カミカゼだっておそらくそうでしょう。自分で死んでいくんだから、同じでしょ?と言われればそれまでです。

 

だからこそ、今回、トルコ国営放送の特派員の方がした抗議に拍手を送りたいのです。自分たちの国、宗教に対して正しく理解をして欲しいと日本の地であえて声を上げたのですから。

 

それがどんなにマスコミに無視されようと、心ある人には声が届いています。そこから本当のイスラム教を知りたいと思う人も出てくるでしょう。

 

そういうことを日本の外務省の方(特に世界中の大使館の皆さん)や政治家の方々にも力を入れて欲しいです。おもてなし、とか言っているだけじゃなく。