この声明がでたとき、カトリーヌ・ドヌーヴのような賢明なフランス女性がなんでこんなことに口を出しちゃったの。と思いました。案の定、謝罪するはめになって…。
フランスやイタリアは恋愛に関して、私たち日本人と比べるとものすごく成熟した考えを持っているんです。70、80になっても恋愛することを楽しんでいる感じ。
日本だと40代、50代での結婚なんてムリみたいなことを言われていますが、全然そんな雰囲気がない。
いくつになっても恋愛ができる環境なんです。「ゆえに」というか、「そのせいか」というかどちらが先なのか分かりませんが、
異性相手に「嫌な思いをさせる行為」をする人が圧倒的に少ない。
これは私が在住時に経験したことです。逆にちょっとしたことで、喜ばせるのは本当に上手なメンズが多い。
さらにあちらは大企業が少ないので、役所勤めでもしていない限り、組織的にセクハラが黙殺されるような大きな会社に勤めている女性も少ない。
したがって、はあちゅうさんのように過去に受けたセクハラの被害のトラウマを長年溜め込んでいるような女性も少ない。
たいていは小規模な職場なので、そんなところでセクハラしたらもう大問題、町中の噂になってしまうでしょう。
恋愛が自由である分、「嫌がる相手にセクシャルなアクションをすること」はカッコ悪いと思われています。ましてや社会的な地位のあるサラリーマンが電車で痴漢するなど、恥の極み、人間としての成熟度を疑われます。
もちろん、あちらにもセクハラは存在しますが、女性の地位が高いというか、もともと女性が強いのでハラスメントを受けづらい環境にあるとも思うのです。
このようないろいろな理由を踏まえて、フランスやイタリアの女性がアメリカや日本で起きているmetooムーヴメントについてコメントすることは難しいのではないかと思っていました。
同じことをされても相手によってセクハラになる。が…
90年代、初めて「セクシャルハラスメント」という言葉が使われるようになったとき、当時OLで職場に彼氏がいた私は思いました。
「ん?これってまるっきり同じことをされても、相手が彼氏(もしくは好みの相手)だったらかまわないけど、それが嫌な相手だったら『セクハラ』になるってことか。線引きが難しいな……」と。
口説かれる自由、と表現されていましたが、それは相手が嫌な相手であったとしても同じなのでしょうか。
はっきり言いますが、フランスやイタリアは女性から見て好ましい容姿の男性の絶対数が多い。60~70代でも素敵。と思わせられる男性の割合が多いです。(この記事の一番最後に出てくるようなおっちゃんもいることはいますが)
だから、同じことをされてもそれをセクハラだと思わない確率も、その分だけ上がることになります。
ましてや美貌やお金、名声や地位のあるカトリーヌ・ドヌーヴが好ましくない相手から「口説かれる」ことなど、まずなかったでしょう。電車で痴漢にあうこともないだろうし。
だからこそ、フランス人女性は「あらあら、アメリカや日本の女性ってそんなに立場が弱いの…?え?権力を振りかざすオヤジが多い?大変ねぇ」くらいにおおらかに見ていてほしかった。
セクハラの被害者を責める意図はなかったというけど、彼女くらい影響力のある女性、しかも恋愛大国であるフランスの大女優がこんな発言したら、都合のいい部分だけを切り取って解釈されて
「ほーら、女性だって喜んでいるんだろう」
という風に勘違いする男性が絶対に!出てくるわけですから。そこんところは沈黙していていただきたかった。というのが正直な感想です。
いい方に勘違いする、おっちゃんの典型的な例がこちらです。あんたはいつもそうだよ…。